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 1896年の第1回アテネ・オリンピックの開催を提唱し、「近代オリンピックの父」と呼ばれたクーベルタン男爵のスピーチにある言葉です。
 この言葉には、勝利至上主義に対する警鐘と共に、友情とフェアプレー精神の実践を通じて、世界の平和を希求する思いがこめられ、男爵はさらに、
「人生において重要なことは、成功することではなく、努力することだ」と語っています。
 去る4月9日の朝日新聞夕刊に、「ゼッケン67 祖父がくれた諦めない心」と題して、1964年の東京オリンピックの男子陸上1万メートルの決勝で、周回遅れの最下位ながら最後まで走り切ったセイロン(現スリランカ)代表選手が取り上げられました。
 セイロン代表は他の選手のゴール後、誰もいないトラックを一人で3周しました。当初、7万人の観衆は失笑して、呆れたように見ていましたが、脇腹を押さえながら懸命に走るその姿に目を奪われました。そして、この選手は、優勝したかのような万雷の拍手と歓声でゴールに迎えられたのでした。
 彼はレースの一週間前に風邪をひき、当日も熱は下がらないままでしたが、祖国の名誉と、故郷で待つ妻子のために出場したといいます。彼の姿は、日本では「ビリの英雄」として讃えられ、母国でも「真の英雄」として、今なお多くの人々に語り継がれています。



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