この社員がミスに気づいたのは、遠足の前日であったため、会社の上司に報告してバスの手配に最善を尽くすこともできたでしょう。しかし、遠足当日の朝に、教師や生徒が集まってもバスが来ないという事態になり、ついに社員のミスと偽装が発覚しました。その結果、自らの職務責任を放棄し、さらにミスを隠ぺいするために嘘までついたこの社員は、偽計業務妨害罪の疑いで逮捕され、会社からも懲戒解雇の処分を受けることになりました。
会社内部の、ミスを防止する仕組みの脆弱さや、コミュニケーション不足を指摘する声もあります。しかし、この社員の一連の行いは、社会人として、決して許されるものではありません。
仏教では『四十二章経』に、
「もし、人過ちあらんに、自ら解して非を知り、悪を改めて善を行わば、罪の自ら消滅する」
と、過ちを知って懺悔し、その上で善を修めれば、犯した罪はおのずから消滅すると説かれています。
仏道修行の第一歩は、計り知れない過去から重ねてきた、そして将来も犯し続けるであろう罪の重さを自覚することから始まります。
それ故に、自らの過ちを認めようとしない心は、およそ信仰とは遠くかけ離れたところのものと言わざるを得ないでしょう。心静かに自らの言動を省みることができる素直な心、そして過ちに気がつけば潔く懺悔し、自らを正す、自浄の姿勢こそが大事なのです。
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