これは、プロ野球選手として、米国メジャーリーグのシーズン最多安打記録や10年連続200本安打など、多くの記録を保持している、「イチロー」こと鈴木一朗選手の言葉です。彼は自らに厳しく、常に用意周到なトレーニングを自らに課すことでも知られています。
 野球はチームプレーを前提とするスポーツですが、彼はチームのメンバー 一人一人の「個」が、持てる力を最大限に発揮し、それぞれが与えられた役割を果たすことを第一に優先すべきと考えたに違いありません。
 2014年12月、小惑星イトカワから微粒子を持ち帰った無人探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」が、小惑星「リュウグウ」に向かって打ち上げられました。JAXAで行われたそのプロジェクトには、探査機のエンジン、姿勢や軌道の制御、天体表面の砂や岩石を採取分析する装置等、様々な技術・研究分野の専門家に加え、コンピュータグラフィックスのイラストを担当するアートディレクターも開発に加わりました。
 目的地の小惑星まで往復約52億キロの旅となる一大プロジェクトを成功させるためには、装置開発の成功はもちろんのこと、異なる分野を担当する技術者同士が、目標を共有した上でお互いに協力することが不可欠です。
「挑戦して成果を求める。科学の発展がないと意味がない」
とプロジェクトの目標を明確にした上で、技術部門をとりまとめたマネージャーは、設計工程を見直して、5年かかるものを2年半で完成させました。