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 この会社の社長は、かつて大手電機メーカーで、社内リストラを推進した経験を持つ技術者で、会社の方針とはいえ、同僚や部下に退職を勧める自身の不甲斐なさに苦しみ、やり場のない怒りの日々を過ごしたといいます。そして、「人こそ大事なり」という信念の下、自らも職を辞することを決断し、3名で新会社を創業しました。
 その後、総勢32名となった新会社は、リストラされるも、もう一度、自分の力を試したいと集った半導体技術者たちにより、半導体実装技術の分野で世界的な大企業から高い評価を得ているそうです。
 リストラという大きな逆境の中、自分の信じる道を選んだ社長と、技術力で世界に挑戦しようとする社員たちの心意気。たった一人の力では叶わぬことも、志を同じくする者が集い、力を合わせれば実現できることに勇気づけられます。
『法句経』に、
「諸仏のあらわれ給うは幸いなり。仏法を説くも幸いなり。僧衆のこころ一つなるも幸いなり。和合衆の道にいそしむもまた幸いなり」
と、信徒が互いの善き信仰の友となり、聴聞に励み、精進することが真の喜びであると説かれています。互いの心を一つにして、力を合わせることが、次の新たな時代をつくっていくのです。



文・南 省吾

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