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 ついカッとなり、それを周りにぶつけて一時の溜飲を下げた後に、後味の悪い思いをしたことはないでしょうか。怒りに駆られた反射的な言動により、刑事事件の加害者として、一生を棒に振ることもありえます。
 ある識者は、こうした事態を抑えるために、怒りのピークが過ぎるまで6秒待つ、あるいは、深呼吸するなどの方法を提唱しています。
 仏教でも、怒りを10悪の1つに数え、怒りを抑える実践が重視されます。
『華厳経』には、
「たとい衆生ありて悪声を出し、罵詈して卑しめ穢すも、また各が手に刀を執り、撃ち破るとも、菩薩は、此の念を為して怒らず。『我、もし苦しみによりて怒りの心を生じなば、自らを伏せず、護らず、明らかならず、静かならず、真ならず』」
即ち、忍耐して怒りに打ち克つことが、正しい行いであり、それが目指すべき姿であると説かれています。
 怒りは自らを破綻へ導く道と心得、耐え忍んで、穏やかな心で過ごしていきたいものです。



文・南 省吾

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