この桜は、植樹から101年を経た現在も美しく咲き誇り、世界各地から公園を訪れる多くの人々を迎え、日米親善に大きな貢献をしています。苦労の足跡はなくとも、百年にわたり咲き続けてきた見事な花が、何よりもその姿で雄弁に語ってくれているのです。
それは、『正法眼蔵随聞記』第三の中で、道元禅師も説かれています。
「人にも知られず喜ばれずとも、ただ人の為によきことを心の中に作して、我れはかくの如くの心もちたると人に知られざるなり」
人にも知られず、喜ばれなくても、ただ、善を心に念じて行動する。
2500年もの間、仏教を護り伝えてきた上人方の御足跡もまた、道元禅師のように、人知れず積み重ねられたものであったに違いありません。私たちは、その御苦労の足跡を読み取り、上人の歩まれた道のりに自らの足どりを重ね、歩んでいきたいものです。
桜を守り続けた人々の苦労が、今の満開の花となるように、そうして人知れずこつこつと積ませて頂いた現世の功徳こそが、子々孫々への大きな財産として実を結ぶのです。
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