HOME > 珠玉の言葉 本棚 > 本棚60 2頁


 財政破綻後、自分の仕事だけで手いっぱいになり、仲間を助ける余裕もない市の職員たちの声を受け、自分を必要としてくれるならばと、収入の大幅ダウンや休日返上の執務を覚悟して決断したといいます。
「どうせ何もできないという空気を変えたい」
と奮闘を続けた市長は、2018年3月より地域再生の新規事業に資金を投じることの了承を国から取りつけ、将来を明るく作りあげる10年をスタートさせたといいます。
「自己犠牲でやっているつもりはありません。私も生まれてきた意味を探しています。この夕張に何か貢献できれば、自分が存在した意味もある」と語る彼の姿が印象的です。
 仏教では、『入菩提行論』に、
「他人に利益を与えて、驕りも誇りも生じない。まして、報酬の期待は生じない。自分自身を楽しませているに過ぎないからだ」
として、仏道を志す者は、他に利益を与えることを、自分の楽しみ、生き甲斐とするため、驕りも誇りも、お返しを期待する気持ちも生じない、と説かれています。
 仲間が困っていれば、誰に言われるまでもなく黙って手助けをする。そうした「思いやりの心」を、自然体で実践できる自分でありたいものです。



文・南 省吾

本棚60 1頁