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 日本においても、布マスクや食料品の無償提供など、「助け合い」の輪が広がっています。持てる時間や財産が人の助けとなる喜びと、自分は一人きりではないという安心感は、お互いの心を温かくしてくれます。
 今回のコロナ禍は、その感染力の強さから、「自国や自分さえよければ」という利己主義の限界と、「お互い様」という心で手を差し伸べ合うことの大切さを教えられる思いがします。
『大乗起信論義記』は、
「衆生の真心は 諸仏の体と平等にして 二つ無し」
と説き、慈悲の心は仏様だけのものではなく、私たちもその心を具えていることを知るべきだと教えます。
 その心を曇らせるのは、自利しか求めない私たち自身の愚かさです。両手で自利を貪るのではなく、せめて、もう片方の手で他への「思いやり」を実践してみましょう。人生の幸せは、自利・利他という二つの手でこそ、つかめるのではないでしょうか。



文・南 省吾

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