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 今回の会議では、新たな温暖化対策に向けて、「先進国 対 途上国」という対立の構造がいっそう複雑化して、かつてないほどに各国が入り乱れての熾烈な交渉が繰り広げられました。その結果、会議日程を延長したものの、合意した内容は実効力の非常に弱いものとなりました。
 世界全体の利益よりも自国の利益だけを主張する近視眼的な議論と行動は、さらなる地球規模の環境破壊という結果をもたらすことは明らかです。
 仏教では、冒頭の言葉における「理」は大自然の理、即ち、生きとし生けるものを生かし育む働きに、「欲」は、人間がその理に背き、自らの欲望に呑まれている様子に読み替えられます。
 人生は、他を利すれば豊かに、自分の利益を貪れば危うくなるものと心得、同じ時代に生きる私たち一人一人がお互いを思いやり、「理」を実直に実践していくことが肝要です。
 仏教の説く、その慈悲・寛容の心は、日本人の思想にも深く根差しており、世界中から仏教に平和への期待の眼差しが向けられる所以でもあります。
「他を利する」という理が弘まれば、いつか必ず、万人に幸せを、そして世界に平和と安寧をもたらし、理想の世界を実現することと存じます。



文・南 省悟


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