中国の『老子道徳経』にある言葉で、聖人は何も貯め込まず、
「何もかも人々に施しながら、自分はますます充実し、何もかも人々に与えながら、自分はますます豊かになる」
という意味です。困窮する人を見れば、放っておけない。何はさておき、救いの手を差し伸べる。それがたとえ些細なことであっても、その行いは喜びとなって、その人の心を豊かにしてくれるものです。
平成26年、大雪のため、福島県内の国道で立ち往生した車のドライバーに、沿道の仮設住宅で暮らす原発事故避難者がおにぎりを炊き出して救援したという、心温まる報道がありました。そして、平成29年4月7日付の日本経済新聞夕刊に、この出来事が小学校の道徳教科書に掲載されることが報じられました。
激しい雪で、長い時間、車が動いていないことに気づいた女性が、炊き出しを提案し、急遽、支援物資として届けられていた米を集会所で炊き、自宅から海苔や梅干しを持ち寄って、20人ほどで、約300個も握りました。そして、1メートル近い積雪をかき分けて、一台一台、車をのぞき込んでは、労いの言葉を掛けて、その握りたての温かいおにぎりを配ったそうです。
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