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 指令員が点検実施を調整していると考えた保守担当者と、危険ならば伝えてくると考えた指令員。互いに思いこみの間違いに気づかないまま、判断を人任せにしたことに対し、同月28日付の毎日新聞は、
「判断に迷ったときは、最も安全と認められる行動をとらなければならない」としたJR西日本の安全憲章が守られなかったと指摘しています。
 列車を止めるという決断は重いものですが、お互いが自己の責任を回避したとも思えるこの行動は、職務に忠実とは言えず、一つ間違えば、多くの命を失うという危険を孕んだものでした。
 仏教では、『長部経典』に、
「寒すぎる、暑すぎる、遅すぎるなどと言って、為すべきことを放置すれば、利益は若者より去っていく」とあり、その時々に、逆境にあったとしても、為すべきことは、断固として為さねばならないと説きます。
 ましてや、人生の岐路に立たされた時こそ、初心に返り、一人一人に与えられた使命と役割を全うしようという覚悟で、前進することが大切です。



文・南 省吾

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