HOME > 珠玉の言葉 本棚 > 本棚13 2頁


 その後、自動車産業はめざましい回復を見せたものの、市の税収は思いのほか伸びずに今回の財政破綻となりました。市では警察や救急などの行政サービスの低下と治安の悪化に対し、増税や自治体職員の削減、年金減額も検討しています。繁栄期に定めた年金制度による支給額に、現在の市財政が耐えられなくなったのが破綻の理由といわれます。
 徐々に衰退する産業構造の変化に気づいた時、問題を先送りせずに課題に正面から取り組んでいれば、このような破綻は避けられたかもしれません。
 ビジネスセミナーなどで紹介される「茹で蛙」の喩えは、「緩やかに昇温する冷水に入れた蛙は、その緩やかな上昇に気がつかずにやがて死亡する」という意味で使われます。緩やかな変化は、それが致命的であっても甘受してしまい、やがて取り返しのつかない状態に陥ってしまうのです。
 信仰における堕落もまた、現状維持を良しとする、理想を忘れた我見や、慢性的な怠慢など、「心の弛み」から始まります。最初はそれが小さなものであっても、やがて大きな負の連鎖となり、気がついた時には仏道とは程遠い心の有り様となってしまいます。
 この信仰はかけがえのない、心の宝です。その宝を命終まで護り通すためにも、易きに流されず、常に堕落を戒めつつ精進を重ねたいものです。


本棚13 1頁