HOME > 珠玉の言葉 本棚 > 本棚10 2頁



 会津藩士の子として、幼い頃から人の道を学び、他には尊重と思いやりを、また自ら誠実であることを教えられ、日々の反省を怠らなかったのです。
 翻って現代の世相を見るに、道徳教育の精神は失われて久しく、「騙される方が悪いのだ」という、実に嘆かわしい社会に私たちは生きています。
 中国浄土教の大成者、善導大師は、『観無量壽経疏』の中で、
「外に賢善精進の相を現じ、内に虚仮を懐くことを得ざれ」
と説かれ、中身は空っぽなのに、外面には賢く信心深いと人に思わせるような、うわべだけの振る舞いを厳しく戒められました。さらに、そのような心で精進したとしても、極楽往生することはできないとまで断言されました。
 見栄や体裁を繕い、自らの心を蔑ろにするところに真の信仰はなく、喜びや感動も生まれません。
 松陰の「質実欺かざる」とは、自分の信ずる処に「誠」を尽くすということであります。誰もが有する性を大切にし、その内なる心の声に素直に耳を傾け、精一杯の精進をさせて頂く。そしてもし間違いがあれば、それを懺悔して、将来の喜びと成功の糧とする。そうした仏恩報謝の道を歩もうではありませんか。


本棚10 1頁