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 世界が自国の利益を最優先する潮流に流されようとしている今だからこそ、豊かさや価値観、政治体制の異なる国々が、将来の平等と幸せの実現に向けて目標を共有し、実践しようとする試みは、大いに価値のあることです。そして、一人一人の良識や善意を次の世代に渡していくという活動は、世界を変えていく原動力になるはずです。
『未曾有正法経』には、
「大地の能く樹木、薬草等を生じ、敷栄、結実、悉く能く成就せしめ、而して、かの大地は、われ草木を生じて、これを成熟すと言わざるがごとし。菩薩もまたかくのごとし」として、大地が果実や薬草を生ぜしめ、何も言わずに他を利益する姿を描き、菩薩もかくあるべしと説きます。
 自分さえよければという心は、周りの人々を苦しめ、将来の子孫にも大きな禍根を残すことになります。誰かから求められたという訳でも、見返りを求めるという訳でもなく、進んで善の種を植え、肥料や水を与える。それが、今の私たちに求められている菩薩の心ではないでしょうか。



文・南 省吾

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