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これは昨年十二月、九十五歳で逝去された、南アフリカ共和国 元大統領ネルソン・マンデラ氏の言葉です。
 政治犯として長きにわたる獄中生活にも屈せず、人種差別撤廃の実現に生涯を捧げた氏の言葉は、苦難は乗り越えるべきものであり、乗り越えた後には大きな果実があると、私たちを勇気づけているようであります。
 部族の首長を父として生まれたマンデラ氏は、青年時代から弱者の立場に立ち、弁護士として人種隔離政策(アパルトヘイト)撤廃の活動を始めました。しかし、政府の暴力的な抑圧に対抗するために、武装闘争を容認するようになり、やがて逮捕され、国家反逆罪で終身刑の判決を受けて投獄されます。




 二十七年間の獄中生活では、結核を始めとする呼吸器疾患、また石灰石採掘場での重労働によって目も痛めました。多くの受刑者が希望の見えない日々に屈していく中、それでも氏は獄中生活において刑務所内のルールの遵守を自らに課し、来るべき時に備えて他の言語を独学で修得し、通信教育で見識を磨いていきました。また、一方では、所内で畑を耕して汗を流し、野菜を収穫する喜びに心を休めました。
 自由もなく希望もない逆境にあって、氏はまさに「自分だけの畑」を耕すことに精を出し、自らの人格を成熟させていったのです。


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