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 また、ある識者は、タテ割、同調圧力、個人より組織といった日本特有の社会構造からの変革を訴えています。個人が異論を出して活発に議論できる環境や、行動し、失敗しても、その経験から学び、賢くなれる風土づくりが変革には必要であると説き、変化の激しいこの世界では、「何もしない、先送り」こそが、最大のリスクだと警鐘を鳴らしています。
 仏教においても、『摩訶止観』に、
「豈に旧を守りて、化道を壅ぐべけんや」(どうして旧来の伝統を守って、教化の道を妨げるであろうか。いや、妨げることはない)と、既成概念に固執し、未来を切り開くことを妨げてはならないと教えます。行動して失敗することへの恐れ、過去の成功体験に固執するということは、誰にでもあることです。
 しかし、現状に妥協して変革の意志を失うところに、未来の凋落の兆しが潜んでいます。
 数年先の自分の「あるべき姿」は、どのようなものかを見据え、その目標に向かう行動計画を考える。明日のことさえ分からない「無常」の世に生きる私たちですが、そうしたひと時を持つことも大切なのではないでしょうか。



文・南 省吾

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