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氏は著作の中で、
「使命とは自分に求められているものであると気づいた時、人は自分の命の本当の使い方を見出し、自分らしい生き方を始めることができる」と綴り、その内なる声に従うことが自らを大事にすることであり、その実践のために、「生涯現役」でありたいと考えました。
 余生という余った生や余分の生などなく、100歳を超してもなお、緩むことなく、与えられた命を完全燃焼したい、という氏の生き方には、多くを学ぶべきです。
 仏教では、『無量壽経』に、
「摧砕によりて身亡び、命終われば、これを棄捐して去るに、誰も随う者なし。尊貴・豪富もまたこの患あり」として、命が終われば、身体も財産も、地位も名誉も、全てこの世に打ち捨てて去らねばならないと説かれるように、真に重要なものを見極めるべきです。
 世間では、シニア世代の「終活」や「生きがい」などの言葉が氾濫し、高齢者が趣味やボランティア活動に励むなど、残りの人生において何を為すべきか、迷いと不安があるように見えます。日野原氏のように、自分の命の本当の使い方を見出すことができれば、「悔いのない人生であった」といえることでしょう。



文・南 省吾

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