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 心の動きは、日々の行動に触発されるといいます。
 この大学では、日々、自らを律し、初歩的なことを丁寧に積み上げた結果、自然と、走りに取り組む心が見つめ直されました。その一人一人の心の醸成こそが、チームを一つにまとめる原動力になったのでしょう。試合に勝つためのノウハウを偏重し、とかく戦術や科学的分析、選手の体力や技量の強化が叫ばれる昨今のスポーツ界に、まさに一石を投じたのです。
 この教訓は仏教にも通じています。御仏の教えは頭から教え込むのではなく、心に感じさせるべきことを、聖徳太子は、「念仏は情に在て理にあらず」と説かれました。さらに法然上人は、「もろもろの智者達のさたし申さるる、観念の念にも非ず。又、学問をして念の心を悟りて、申す念仏にも非ず。…只一向に念仏すべし」と、頭で理解するのではなく、一心になることの大切さを説いておられます。
 私たちが人生の目的を遂げるために、何か特別なノウハウが必要という訳ではありません。人として家庭や社会においてその務めを果たし、信仰の上では参詣や説法聴聞、精進を積み重ねること。そうして信心を養うことこそが大涅槃を叶えるのです。

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