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 この言葉に確信を得た松下氏は、即座に電算機事業からの撤退を決断しました。社内からの批判はもちろん、マスコミからも叩かれましたが、決意は揺るぎませんでした。というのも、松下氏には、「企業は社会に貢献しなくてはならない」という信念があり、「電算機は2、3の専門メーカーに任せた方が発展する」と、自社の目下の利益より公益性を重視したからです。意地を張って無意味な競争に突入することを避け、自らの信念に従って、決断したのです。
 仏教においても一瞬の決断力の重要性を説く、「二河白道」の教えがあります。
 西方に向かう旅人の眼前に二つの大河が立ちはだかります。南に流れる火の河と、北に流れる水の河で、その両河の中間に、幅15センチ程の白い道があります。百歩ほどで渡れそうなのですが、絶えず火と水が押し寄せて、渡ることを躊躇する旅人に、さらに後方から多くの賊と恐ろしい獣が迫ってきます。
 進んでも退いても、また立ち止まっても死んでしまうと覚悟した旅人は、「白道を渡るのみ」と決断し、御仏の声を頼りに、白道を直進し、無事に極楽へたどり着いた、という教えです。
 私たちも、何度となく人生の選択肢が訪れます。その時に現状に甘んじて楽な道をゆくのか、覚悟を決めて、厳しくとも御佛の道をゆくのか…、答えは明白であります。




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