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 在札幌アメリカ総領事館を通じ、この女性に感謝のビデオメッセージが届けられましたが、その時、女性は感激で目頭をハンカチで押さえながら、感謝の言葉を繰り返していました。人形のプレゼントという小さな善の行いが、五十余年の時と国境を越えて、贈り主の心と受け手の心が通じた喜びと感謝に、心温まる思いがしました。
 自らの行いは、果実が熟するようにやがて必ず結果として顕れるものです。
 仏教では、『正法念処経』に、
「自ら作りし業は、余人その果報を受くるに非ず」
と、他に対する言葉遣いや振る舞い、善悪の行いすべてにわたり、その善し悪しに応じて、遅かれ早かれ、必ず苦しみや楽しみを味わうことになると説いています。ともすれば、社会と自然の中で生かされていることへの感謝の心を忘れ、自らの利に汲々とする私たち。相手を思いやる心と無私の行いは、それがたとえ小さくても、悪であるはずはありません。そうした善の積み重ねの先に幸福な世界が広がります。




文・南 省吾

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