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NHKのある番組で、自らも起業しながら、全国15の自治体で、起業を目指す人々の指導にあたる男性が紹介されました。
番組の中で、この男性は、事業を大きく育てていくためには、事業を起こす前の段階の心構えが大切なことを伝えていました。そして、参加者には、「なぜ地域おこしの事業をしたいのか」を問い続け、事業の未来像と取り組むべき課題を、自らの言葉で発表することを求めていました。すると、回数を重ねるうちに参加者に自信が生まれ、語る言葉も、他の共感を得るような説得力のあるものになっていきました。
 自分がなりたい姿を自問し、どのような方法でそこに到達するのか。あくまでも主体的に、その青写真を繰り返し描き、皆で評価することが大きな力になることに気づかされます。
 中国の天台大師は、『法華玄義』に、
「衆生法は太(はなは)だ広く、仏法は太だ高く、初学に於いて難しと為す。但だ、自ら己心を観ずれば、則ち、易しと為す」と、人々のあり方は様々で、御仏の教えは、初学者には難解であるが故に、自らの心を観察するところから始めることが大切である、と教えます。
 外にばかり眼を向け、取り巻く環境に右往左往する前に、まず自分の心を謙虚に見つめる。まずは、そうした時間を持つことから始めることが大切ではないでしょうか。



文・南 省吾

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