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 全国で自動車用品の販売を展開するイエローハットの創業者、鍵山秀三郎氏は便所掃除を本気で行った方です。
 高度経済成長期に独立した鍵山氏は、自転車に乗って自動車用品を行商することから事業を始めました。商売が大きくなるにつれ社員が増えていきましたが、心の荒れた人材しか入社しませんでした。当時の自動車用品業界は二流、三流の業種とされていたのです。そこで鍵山氏は、職場環境をきれいにするのと同時に、社員の心もきれいにしたいとの思いから、便器を素手で洗う、本気の便所掃除を始めました。
 10年続けていると、一緒に掃除をしてくれる社員が現れました。会社全体に掃除の輪が広がると、社員の表情も明るくなり、心からサービスできるようになり、それに従って、業績がぐんぐん上がってきました。
 そしてついに会社は一部上場企業にまで成長し、鍵山氏の掃除運動は一企業を超えて、NPO法人「日本を美しくする会」の活動に発展、学校や公共施設などの清掃を全国各地で行い、10万人以上が参加しています。
 私たちには「やらされ」や、無責任な「その場しのぎ」ではなく、「本気」で取り組めていることがあるでしょうか。
 私たちは、今一度、自らの「本気」について検証すべきであると存じます。

文・嶋 徹伸

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