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『阿闍世王授決経』に説かれた有名な逸話です。天竺のマガダ国の阿闍世王は、霊鷲山で御説法される釈尊に、多くの灯火を布施されました。
 この時、王舎城に住む一人の老婆が「自分のような者でも、何かさせて頂きたい」と思いました。しかし、灯を用意するお金がありません。老婆は自分の髪を切り、その髪で油を分けてほしいと油売りに頼みました。初めは取り合わなかった油売りも、老婆の熱意にほだされて、ついに僅かばかりの油を分けてやりました。こうして老婆は、やっとの思いで玉座を照らす灯を布施できたのです。
 阿闍世王を始めとする多くの民衆が布施した立派な灯に比べて、老婆のそれはみすぼらしいものでした。
 皆、内心、老婆の灯を自らのものと比較し、嘲り蔑んでいたのです。

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